大手ネットショップから大量の発注を受けたOEM業者からの在庫買取依頼
今回の依頼者はOEM業者です。
在庫として抱えてしまった商品を処分したいとのお申し出でした。商品はUネックとVネックのベタな半袖Tシャツでした。
Tシャツの製作を依頼したのは大手ネットショップでした。ネットショップにて送料無料500円で販売される予定の商品として製作されました。
これはネットショップ特有の戦い方の一つなのですが、『送料無料』の商品を準備することでバナー広告が出せます。送料無料を打ち出して広告をやりませんかと営業がやってきます。この広告枠によって、『送料無料』の権利を得ることができ、『送料無料』で検索する消費者も取り込むことができます。この商品単独での利益は出ませんが、高確率でその他の商品もまとめて購入するため、トータルでかなりの利益が見込めます。
ネットショップは大量発注で生産コストを下げないと、まず勝てません。
依頼者のOEM業者もセール時期に合わせて納品予定で進めていましたが、中国の生産工場が国の環境規制のために閉鎖されてしまいました。
昨年(2017年)の8~9月のお話なのですが、中国では深刻な大気汚染の対策として、国を挙げての環境対策を実施しています。特に冬場は大気汚染が深刻化するため、生産を停止する企業もあります。この政策により倒産する会社も多数出ている状態です。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H42_U7A910C1FF2000/
“環境規制の強化で中小の工場を相次いで閉鎖していることも響いた。”
“「環境調和型の発展理念を各都市が徹底した」と語った。中国政府は大気汚染が深刻化する冬場に向けて規制をさらに厳しくする方針で、北京周辺だけでも17万社が生産停止になる可能性がある。”
日本経済新聞 2017/9/15
この工場は倒産を免れましたが、納期までに納品できたのは一部で、残りの商品は間に合いませんでした。このため、2回目の納品がキャンセルされてしまう事態になってしまいます。
商品が中国の工場にある段階でのキャンセルならよかったのですが、日本国内に入れてしまったためOEM業者での買取となってしまいました。しかも、ネットショップのオリジナルブランドだったため、他販路で販売もできない状態でした。
輸入のコストは中国と日本で1.2倍ほど異なります。例えば、中国で200円の商品が日本についたときには240円になります。輸送費+商品代金+消費税8%+関税がかかるためです。商品を日本に入れてしまったら、さらに輸送費がかかります。
依頼先からはキャンセル、オリジナルブランド商品のため他の販売先にも流通できない。まさにお手上げの状態でした。
在庫買取の依頼をいただき、上記の事情を伺いました。商品のTシャツは非常にシンプルなものです。無地、プリントなし、デザインも至ってシンプルなUネック・Vネックでした。特徴的な商品では無いので、今回はブランドタグを外して販売させてもらうことにしました。シンプルな商品なので、タグさえ外してしまえば、ネットショップにも迷惑がかかりません。タグカットのため、1点あたり80円で買取させていただきました。22000点で176万円の買取でした。
依頼者のOEM業者からも、ネットショップに迷惑をかけない形で、在庫の現金化ができたと感謝していただけました。
OEM業者は基本、在庫を持つと負けです。出前専門店と同じ理論ですね。
ネットショップから依頼をもらって国外の低コストな生産工場に依頼する。商品が売れれば、ランキングに載り、さらに追加発注となります。
OEM業者はこの循環で営業しています。ですが、今回のケースのように、不測の事態で納期遅れを起こす場合もあり得ます。
もし在庫を抱えてしまったら、在庫買取.jpにぜひご相談ください。
【著者紹介】 大林 洋
株式会社ワールドトレードジャパン代表取締役
大学を卒業後、アパレルネットショップを開店。
7年後、在庫問題に悩まされ、個人事業主として在庫処分業を始める。
2013年株式会社ワールドトレードジャパン設立。
その後年間約200社以上の企業の在庫買取に携わる。