お菓子メーカーからの在庫買取依頼
今回の在庫買取事例のお客様はお菓子メーカーです。
お菓子メーカーの在庫
お菓子の在庫といえば、小売店などでは破損品や賞味期限切れなどが想像できます。メーカーでの在庫品なら製作過程の製造ミスや破損を思い浮かべる方が多いかもしれません。運搬中の箱の破損なども考えられます。ですが、お菓子業界ではもっと深刻な在庫を抱えやすい問題があります。背景には、この業界特有の在庫が発生しやすい供給のシステムが関係しています。
今回のお菓子メーカーを悩ませていたのは、『カット残』と呼ばれるものです。
『カット残』とは?
聞きなれない言葉ですが、お菓子業界ならではの風習といえるものです。通常の商取引での売買契約ですと、商品を購入しても、売れ残ったからといって簡単には返品はできません。ましてや代金の返金もお願いしますとなると、仕切り価格での取引には応じないのが普通です。たとえ減額での返金だとしてもなかなか返品を受け付けてもらえないものです。ましてや、賞味期限のある食品なら尚更です。
しかし、お菓子業界では販売店が仕入れた商品が一定期間売れ残った場合、『カット残』として返品を受け付け、購入代金として受け取っていた商品代金も返品分は返金するというシステムが存在します。私も初めて聞いたときは驚きました。通常の売買契約ではありえないことです。
賞味期限内のお菓子が返品されて来るのですが、お菓子の製造メーカーがこの返品されてきたお菓子を他所へ販売できるわけもなく、メーカー内に在庫として溜まっていくそうです。製造メーカーとしても、製造時の製造ミス・規格外品・包装ミスに加えて、このカット残による返品もロスとして考慮して運営しなければなりません。今回の販売店はコンビニエンスストアでしたが、毎回納品後に一定量は『カット残』として返品されていたそうです。
お菓子メーカーの在庫の末路
返品されてきた賞味期限内のお菓子ですが、通常は販売先が無いために100%廃棄の状態でした。返品されてきた商品は賞味期限内とはいえ、通常の販売ルートでは、賞味期限までの到達期間が何割の商品までと契約があるため、販売できません。製造メーカーからすれば、食べられる商品をただただ廃棄処分し続けるのは悲しいことです。
製造コストも考えると頭が痛い問題です。なんとかできないかと相談されましたが、依頼者は大手のお菓子メーカーであり、全国的に販売している商品なので市場価格に影響を与えない形で処分できないかとのことでした。
在庫買取.jpからの提案
今回提案させていただいたのは、この2点です。
提案1)お菓子の食べ放題を行っている飲食店に卸販売
提案2)養護施設などの学校関係での配布するお菓子として卸販売
卸販売を行うことで、市場価格への影響はありません。お菓子メーカーは在庫を一括処分できますし、卸先は高価なため仕入れを避けていた有名メーカーのお菓子を安価で仕入れられると喜んでくれました。市場の価格帯を変化することなく処分ができたというのが、お菓子メーカーにもしっかり理解していただけ、満足してもらえたため定期案件になりました。
お客様の声
定期的にカット残の返品により在庫が増えていました。市場価格への影響を恐れ廃棄処分を繰り返していましたが、今回相談したことにより、定期で在庫買取を依頼することに決めました。
【著者紹介】 大林 洋
株式会社ワールドトレードジャパン代表取締役
大学を卒業後、アパレルネットショップを開店。
7年後、在庫問題に悩まされ、個人事業主として在庫処分業を始める。
2013年株式会社ワールドトレードジャパン設立。
その後年間約200社以上の企業の在庫買取に携わる。